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出家

 ゴータマが出家したのは29歳。城の誰にも気付かれぬよう、ある夜、一人の家来のみを連れ、
 可愛がっていた馬にまたがり、城を出た。家来には、途中まで道案内をさせ、そこで馬に
 またがらせ、城に帰したのである。家来は大変悲しみ、なんどもゴータマを思いとどまらせようと
 こころみたのだが、ゴータマの堅い決意をくつがえすことはできなかった。ゴータマは、一人、
 大きな決意とともに旅立ったのである。

 まずゴータマは、しかるべき師を求めて求道の旅に出発した。そのころの師は、バラモンの僧か
 沙門と呼ばれる修行者で、いわゆる仙人と呼ばれる人たちであったが、最初にゴータマが師事した
 最も有名な仙人の教えも、次に師事した七百人もの弟子をもつ仙人の教えも、あっという間に
 体得した。しかし、ゴータマは本当の悟りには達していないという自覚があったので、それぞれの
 師のもとを離れ、自分自身の修行によって悟りをひらくしかないと決心したのであった。

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